電力自由化により、電力会社を自由に選べるようになりました。
しかし新電力が数多く存在するため、電力会社や電気料金のプランを選ぶ際に困ってしまいます。
今回は
- 電気料金プランの種類
- 電力会社を選ぶ際のポイント
- 電力会社選びの際の疑問
についてご説明します。
各電力会社の料金比較や電力会社を切り替えた際の失敗談もご紹介しますので、
電力会社を選ぶ際の参考にしてみてください。
料金プランの種類
電気料金というと、「従量電灯プラン」一般的です。
あまり知られていませんが、他にも
- 時間帯によって単価が変わるプラン
- 基本料金や最低料金がないプラン
などプランは全部で3種類あります。
現在契約中のプランについては検針票や請求書に記載されていますので、確認してみてください。
電力会社によって電気料金プランの設定はさまざまですが、プランを変えるだけで電気料金が安くなることもあります。
電力会社を切り替える際には、プランの比較も重要になります。
①従量電灯プラン
最も一般的で契約者数最多と言われるのが、「従量電灯プラン」になります。
特に電気料金のプランを選ばなかった場合には、このプランで契約しているはずです。
「従量」というプランの名前通り、使った分だけ料金を支払うプランになります。
使った分だけの料金は従量料金と呼ばれ、電力量料金(1kWhあたりの価格)×使用量の料金がかかります。
それに加えて基本料金、または最低料金がかかります。
電力会社によって、
- 契約アンペアによって基本料金が変わる「アンペア制」
- 一定の最低料金を設定した「最低料金制」
となっています。
季節や時間帯によって電力量料金の変化はありません。
②時間帯によって単価が変わるプラン
このプランは、時間帯によって電力量料金が変動するプランになります。。
オール電化の方を対象としていて、夜間の電気料金が安くなるよう設定されています。
プランの種類にもよりますが、
- 土日祝日の料金が安くなる
- 季節によって電力量料金が変化する
など電気価格の変動がこのプランの特徴です。
しかし価格が最も高くなる時間帯は、従量電灯プランよりも電力量料金が高くなりますので注意してください。
③基本料金や最低料金がないプラン
新しい電力会社の電気料金プランの中には基本料金や最低料金がなく、固定料金を払わなくて済むプランもあります。
電気使用量が増加すると、固定料金がないため電力量料金が高くなる傾向にあります。
しかし固定料金がないので、毎月の電気料金は低くなると考えられます。
電気料金プランの比較
3つの電気料金プランを表にまとめました。
①従量電灯プラン | ②時間帯によって単価が変わるプラン | ③基本料金や最低料金がないプラン | |
電気料金 | 基本料金+従量料金 | 基本料金+従量料金 | 従量料金のみ |
メリット | 電力量料金が一定 | 時間帯や季節によって従量料金が安くなる | 固定料金がない |
デメリット | 電力量料金が高くなる時間帯がある | 電気使用量が増えると、電力量料金が高くなる | |
特徴 | 最も一般的なプラン | オール電化向け | 新電力に多いプラン |
電力会社によって契約できるプランが異なるため、契約前にどのプランで契約をするか検討が必要です。
各電力会社の電気料金を比較表
電力会社によって基本料金や電力量料金は異なります。
ここでは
- 東京電力
- 関西電力
- ENEOSでんき
- 東京ガスでんき
- Looopでんき
以上5つの料金を比較します。
契約前にしっかりと比較しておきましょう。
基本料金を比較
まずは各社の基本料金を比較します。
アンペア | 東京電力
(基本料金) |
関西電力
(最低料金) |
ENEOSでんき | 東京ガスでんき | Looopでんき |
10A | 280.80 円 | 0 円 | 280.80 円 | 280.80 円 | (アンペアにかかわらず)0円 |
15A | 421.20 円 | 421.20 円 | 421.20 円 | ||
20A | 561.60 円 | 561.60 円 | 561.60 円 | ||
30A | 842.40 円 | 842.40 円 | 842.40 円 | ||
40A | 1.123.20 円 | 1.123.20 円 | 1.123.20 円 | ||
50A | 1.404.00 円 | 1.404.00 円 | 1.404.00 円 | ||
60A | 1.684.80 円 | 1.684.80 円 | 1.684.80 円 |
関西電力は最低料金を設定しているため、基本料金という名目の料金は発生しません。
Looopでんきは基本料金・最低料金なしのため、固定料金が一切かからない料金となっています。
基本料金を設定している
- 東京電力
- ENEOSでんき
- 東京ガス電気
では、基本料金に違いがないことがわかります。
電力量料金を比較
次に電力量料金、1kWhあたりの電気料金を比較します。
( )は各電力会社の電力量料金と東京電力の電力量料金との差を示します。
電気使用量 | 東京電力 | 関西電力 | ENEOSでんき | 東京ガスでんき | Looopでんき |
15kWhまで
(最低料金) |
334.83 円 | ||||
15~120kWh | 19.52円/kWh | 19.95円/kWh
(+0.43円/kWh) |
19.52円/kWh
(±0円/kWh) |
19.49 円/kWh
(-0.03円/kWh) |
22.00 円/kWh
(+2.48円/kWh) |
120~300kWh | 26.00円/kWh | 25.33円/kWh
(-0.67円/kWh) |
24.09円/kWh
(-1.91円/kWh) |
24.89 円/kWh
(-1.11円/kWh) |
22.00 円/kWh
(-2.00円/kWh) |
300kWh以上 | 30.02円/kWh | 28.76円/kWh
(-1.26円/kWh) |
25.74 円/kWh
(-4.28円/kWh) |
26.99 円/kWh
(-3.03円/kWh) |
22.00 円/kWh
(-8.02円/kWh) |
関西電力は最低料金を設定しているため、電気使用量が15kWh以下の場合には334.83 円がかかります。
15kWh以上の使用の場合にも、電力量料金は東京電力より安く設定されており
最大で-8.02円/kWhとなります。
Looopでんきでは基本料金や最低料金を設定していないこともあり、
電気使用量が15~120kWhの際には+2.48円/kWh高くなります。
どの電力会社が安い?
ここまで5つの電力会社の料金を比較してきましたが、
「結局どの電力会社が安いの?」
と思われているかと思います。
結論としては、「ここが最も安い!」というのは難しいと言えます。
電気料金は
- 基本料金や最低料金
- 電力量料金
- 電気使用量
をもとに決まります。
それ以外にも
- 地域によって契約できる電力会社が異なる
- ガスと電気をまとめることで割引が受けられる
- 携帯電話会社を利用することで割引が受けられる
など、ざまざまな条件の影響を受けます。
電気料金だけでなく、
「信頼できる大手の電力会社がいい」
と考える場合もあります。
そのため切り替える電力会社を決める際には
- 現在利用中の電力会社
- 現在利用中のガス会社
- ガスと電気をまとめることで割引を受けられる電力会社
- 利用している携帯会社
- お住いの地域でおすすめの電力会社
など、いくつか候補を挙げ、電気料金をシミュレーションして料金を比較する方法がおすすめです。
実際にあった!電力会社を切り替えた際の失敗談
電力会社を切り替えた際に
「失敗した・・・」
という実際に合った失敗談をご紹介します。
失敗談①解約金がかかってしまった
30代男性、会社員の失敗談です。
2年使用することで電気料金が安くなるプランを契約し、電気料金が安くなりました。
しかし更新月以外のタイミングで解約してしまったので、解約金が発生しました。
電気料金が安くなっても、解約金が発生したら安くなった意味がないと感じました。
2年契約によって電気料金が安くなるプランもありますが、更新月に解約しない限りは解約金が発生します。
2年契約の場合には
- 2年間は同じ電力会社を利用すること
- 解約は更新月に行うこと
以上2点を気を付ける必要があるようです。
失敗談②あまり安くならなかった
20代女性、OLの失敗談です。
電話で「安くなる」と言われて、電力会社を切り替えました。
しかし電気料金はあまり安くならず、高くなっている月もありました。
安くなると言われていたので、がっかりしました。
電力会社を切り替えたから確実に安くなるという訳ではありません。
電気料金のシミュレーションにて、安くなるかどうかの確認は必要だと言えます。
また一人暮らしなどで電気使用量が少ない場合には、安くなる料金も少なくなるので注意してください。
失敗しない!電力会社の選び方のポイント
電力会社を切り替えて失敗しないために、電力会社の選び方のポイント7つをご紹介します。
ぜひ電力会社を選ぶ際の参考にしてみてください。
ポイント①電気使用量
電気使用量は電気料金に影響し、電気の使用量が増えると電気料金が高くなります。
さきほど
- 電気使用量によって1kWhあたりの電気料金が変わること
- 電力会社によって電力料金に違いがあること
をご紹介しました。
そのため1か月あたりの電気使用量から電力会社を選ぶことも重要になります。
まずはご自身の電気使用量を確認してみてください。
電気使用量が多い場合は特に従量料金が増えるため、電気料金はアップします。
使用量が増えると基本料金もアップすることがあるので、電力量料金と基本料金を両方チェックする必要があります。
基本料金と電力量料金によってどのくらい差があるのか、40Aの契約で450kWh使用した場合の料金を比較してみます。
( )内は、東京電力との差を示します。
東京電力 | 関西電力 | ENEOSでんき | 東京ガスでんき | Looopでんき | |
1か月あたりの電気料金 | 14,632.2 円 | 11,668.5 円
(-2,963.7円) |
12,791.7 円
(-1,840.5円) |
12,710.7 円
(-1,921.5円) |
11,700円
(-2,921.2円) |
1年間でどのくらい安くなるのか? | 35,564.4円 | 22,086円 | 23,058円 | 25,054.4円 |
一例ではありますが、電力会社を変えるだけで電気料金は大幅に安くなることがわかります。
Looopでんきは基本料金がかからないため、電気料金がとても安いです。
ENEOSでんきは電気使用量が多くなるほど、電気料金が安くなる傾向にあります。
東京ガスでんきは都市ガスとセットにすることで割引が受けられるので、都市ガスを利用している方におすすめです。
一方で、電気使用量が少ない場合は電気使用量が多い方のように、大幅に電気料金が安くなることは期待できません。
しかし
- 電力量料金が安い
- 電気使用量が少なくても電気代が安い
といったプランがおすすめです。
例えば・・・
- Looopでんきなら基本料金がないため、電気使用量が少なくても電気料金は安くできる
- ENEOSでんきや東京ガスでんきは電力量料金が安いので、東京電力より電気料金が安くなる
などがあります。
電気使用量によって料金が変わる電力会社が多いため、電力会社を選ぶ際には電気使用量がポイントとなります。
ポイント②基本料金の安さ
基本料金は毎月支払う料金のため、基本料金の安い電力会社を選ぶことで電気料金を安くできます。
- 基本料金がない
- 最低料金が設定されている
という場合もあるので、ご自身の使用量では
どの程度の基本料金が発生するのか
という点は電力会社を選ぶ際のポイントになります。
電気料金を安くするためのポイントでもあるので、しっかりとチェックしてください。
ポイント③電気とガスをまとめる
電気とガスを使用している方は、電気とガスを同じ電力会社にするだけで電気料金の割引を受けることができます。
例えば・・・
東京ガスはガスと電気をまとめるガス・電気セット割りがあります。
契約プランによって割引内容は異なりますが
- ずっとも電気1S:電気料金から0.5%の金額を割引
- ずっとも電気1・2・3:毎月の基本料金から270円割引
などの割引があります。
一方で大手のガス会社であるENEOSは、でんきとガスをまとめても割引は特にありません。
東京ガスで都市ガスを契約中の方は東京ガスにでんきをまとめると電気料金が安くなるので、
電力会社を選ぶ際に抑えておきたいポイントです。
ポイント④電気料金のシミュレーション
各電力会社では、電気料金のシミュレーションができます。
電気シミュレーションができるページとシミュレーションに必要な情報を整理しておきます。
電気料金のシミュレーションは
ここでできる! |
電気料金のシミュレーションに
必要な情報 |
|
東京電力※ | 公式ホームページ |
|
関西電力※ | 公式ホームページ |
|
ENEOSでんき | 公式ホームページ |
|
東京ガスでんき | 公式ホームページ |
|
Looopでんき | 公式ホームページ |
|
※東京電力・関西電力のシミュレーションは、他社から乗り換えた際の電気料金のシミュレーションはできません。
各電力会社の公式ホームページにて必要な情報を入力するだけで電気料金のシミュレーションができます。
電気料金のシミュレーションをしておくことで切り替えたあとに
どのくらい安くなるか
がわかるので、電力会社を選ぶ際には契約前にチェックしましょう。
ポイント⑤携帯電話会社
携帯電話会社も電力業界に参入し、携帯電話とセットで契約することで割引が受けられるようになりました。
例えば・・・
ソフトバンクでは
- Tポイントが貯まる
- おうち割(携帯料金やインターネット料金での割引)がある
という特徴があります。
auでんきでは、
- 電気料金に応じたau WALLETにキャッシュバックがある
という割引があります。
現在利用している携帯電話会社で電気の契約をすることで、
- 電気代料金
- 携帯料金
ともに安くできるかもしれません。
ポイント⑥環境への影響
電力会社を選ぶときに
環境に配慮した電力会社を選びたい
という方もいると思います。
環境に優しいとされる電力会社は
- Looopでんき:再生可能エネルギーの普及を目指している
- ソフトバンク:FITでんき(再生可能エネルギーによる電気)を提供している
などがあります。
再生可能エネルギーを積極的に取り入れている電力会社も多くあるので、切り替える際には発電方法もポイントになるかもしれません。
ポイント⑦解約金
電力会社を切り替える際には
解約金や違約金が発生しないかどうか
も重要なポイントのです。
- 1年以内、または2年以内に解約すると解約金がかかる
- 解約する際には必ず解約金が発生する
など、電力会社や電気料金プランによって解約金の設定はさまざまです。
電力会社を選ぶ際には、解約の際に発生する料金についても確認が必要です。
ポイント⑧支払い方法
新しい電力では
支払い方法がクレジットカードのみ
という電力会社も少なくありません。
自動的に引き落とされるクレジットカードを使用することで、電気代を安くしています。
クレジットカード払いを避けたい
という方もいますので
希望の支払い方法で支払えるかどうか
も確認してみてください。
電力会社切り替えの際の疑問解決!
電力会社を切り替える際に疑問に思うことは、電気料金に関することだけとは限りません。
- 供給地点特定番号ってなに?
- 切り替えのための手続きって簡単にできるの?
- 電力会社を切り替えて停電とか起きない?
など、電力会社を切り替え際の疑問を解決します。
供給地点特定番号とは?
供給地点特定番号は電気の使用場所それぞれにつけられた番号で、電気使用場所を特定するために利用される番号です。
電力自由化によって作られた番号になります。
供給地点特定番号は
- 検針票
- 請求書
- 電力会社ホームページ内のマイページ
で確認することができます。
電力会社にもよりますが、電力会社を切り替える際には
- 契約者名
- 住所
- 現在の電力会社
- 供給地点特定番号
- 切り替えの希望日
- 支払い方法
6つの情報が必要となります。
契約する電力会社が電気の使用場所を特定するために使用しますので、切り替え前に確認しておきましょう。
切り替えのための手続き
電力会社を切り替える際には
切り替えたい電力会社に申し込みをするだけ
で手続きは完了です。
基本的には、もともと利用していた電力会社に解約の連絡は必要ありません。
電話や各電力会社の公式ホームページ、店頭などで申し込みをするだけで簡単に電力会社の切り替えができます。
電力会社を切り替えて停電などはないの?
新電力に切り替えることで
- 電気の供給が安定しない
- 停電になる
ということがないか心配になる方もいますが、
そのような心配はありません。
新電力は大手電力会社から電気を買ってご家庭に電気を売っています。
そのためどの電力会社を契約しても電気を買う会社が変わっただけで、電力の供給元は変わらないということです。
- 電気の質
- 電気の安定供給
- 停電時の対応
などに変化はありませんので、電力会社を変えても問題ありません。
でも電気の質は変わらないのに
なんで安いの?
と疑問に思います。
新しい電力は自分の会社で契約してもらうため、無駄なコストをカットすることによって大手の電力会社よりも安い電気料金プランを実現しています。
まとめ
いかがでしたか。
電力会社の切り替えの際には
- ご自身の電気使用量
- 電気料金プラン
- 解約金の有無
など選ぶ際のポイントがあります。
自分に合った電力会社を選ぶことで電気料金を安くすることができます。
契約前にしっかりとチェックしてから電力会社を選んでみてください。